
今月も赤字か……なんとか仕事を獲得しないとまずい……
しかし、ある日運命的な出会いがありました。
「かんたんてんとを作ってみる気はない?」
この一言から、森田加工所の縫製のすべてが始まりました。

こんにちは、テントの縫製や農業資材の製作をしている「森田加工所」です。
- 茨木県の五霞町(とても田舎です)
- 約130坪の小さな町工場(むしろ村工場?)
- 昭和46年開業(創業54年目)
- テント縫製・遮光ネット・土木用シート・農業用フィルムを製作
事業内容を見ていただければ、わかるとおり、今では多種多様な商品を製作しています。
しかし、創業してから今までの間では、苦難の連続でした。
はじまりは ― お金のため「とにかく仕事が欲しかった」

「なんでもいいから、とにかく仕事が欲しかった」
それが正直な気持ちでした。
森田加工所は、創業当時は、小さな農業フィルム加工工場でした。
しかし、2代目(現在の社長)の「森田有宏」になったときに、時代の変化に対応できず、赤字が続いている時期がありました。
銀行でお金を借りても、日に日に減っていく口座残高。
正直いつ潰れてもおかしくなかった。
そんなときに舞い込んだのが「学校や自治体向けのテント制作」の依頼“かんたんてんと”という名の商品でした。
ミシンすらない「0」からの挑戦

お仕事をもらえたのはよかったのですが、当時弊社は、
- 工業用ミシンは0
- ミシンの経験も趣味で縫い物をする程度
- もちろんテント制作の経験もなし
という、完全なるゼロからのスタートでした。

今思うと、よく仕事をくれたなと感じます。
業務の傍ら、
- ミシンなどの必要機材を購入
- 見本のテントをばらして構造を把握
- 裁断から縫製まで手探りで作成
するなど、試行錯誤する日々。

こんな感じでどうでしょうか?

ダメですね。もう少しテープの部分などを直してください

またやり直しか……
商品として、お金をもらうまでに、何度もやり直したのはいい思い出です。
転機 ― 現場の声にふれた日

最初のうちは、作るのに必死で、他に考える余裕なんてありませんでした。
お金もないですしね(笑)。
そんな忙しい日々の甲斐あってか、事業もだんだん波に乗り始ました。
このころから赤字経営も回復し、心にも余裕が出てきました。
何度も何度も、納品を重ねるうち、ある学校の先生がこう言いました。
転機:ある日の先生の言葉

かんたんてんとで、運動会の準備がとても楽になりました!
本当に助かります!
もっと早く知りたかったです(笑)。
衝撃でした。
当時の言葉は、今でも鮮明に覚えています。
ただお金のために“縫ってるだけ”だった、自分の仕事が、こんな意味を持っているなんて。

全然想像してなかったな……
パイプテントを何個も作るのはな……
これから ― “安心”と“便利さ”を、もっと届けたい

先生の大変さがわかり、そして、かんたんてんとがそこまで喜ばれることを知りました。
そして、だんだんと気持ちにも変化が出てきます。
もちろん、お金も大切です。しかし、
「もっともっと大変な思いをしている先生に届けたい」
という思いが強くなっていくのを感じていました。
かんたんてんとは、先生たちが安心して行事を行える“道具”です。
しかし、その裏には、小さな工場のこだわりがあります。
- 雨を通さない縫い目
- 誠実な手作業
- 安心の品質
森田加工所は、今日も、誰かの安心を縫っています。
下請けは、基本的に名前が出ません。
しかし「かんたんてんと」の良さを日本で一番理解しているのは、弊社だという自負があります。
「かんたんてんと」をもっと広げることができれば、先生たちの負担を減らすことにつながります。
そして、先生たちの負担が減れば、
「子供たちの楽しい運動会につながる」
と思って、今日もテント制作に励んでいます。
先生や子どものために「かんたんてんと」を通して、少しでも社会貢献ができたら幸いです。
ぜひこれからも森田加工所をよろしくお願いいたします。
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